2013年06月16日

米国経済ファンダメンタル分析(2013年6月時点)

米国の金融緩和策の出口戦略に注目が集まり、日本株の動向も米金融緩和の縮小時期に対する見方に大きく動かされています。そのため、通常は米景気の回復または拡大を示す経済指標が発表されると、米景気に対する期待感が高まるとともに米株は上昇、世界的にもリスクオン姿勢となり株式が買われる流れとなりますが、米金融緩和策の出口戦略が意識されると、米景気に対してポジティブな指標の発表により金融緩和策の縮小が懸念され、金融緩和の縮小による米景気の減速、または投資家のリスクオン姿勢の弱まりから米株式の下落、及びリスクオフに伴う円買いのフローが生じています。

この点について、米経済のファンダメンタルを分析することで、金融緩和策の出口戦略の動向、及び今後の米景気動向、ひいては日本株の動向について分析する際の示唆となれば幸いです。

まず、米GDPの約7割を占める個人消費の動向は、小売売上高の推移から2010年後半以降回復基調が続いています。3月、4月はやや減少、伸びが鈍化したものの5月は市場予想を上回る伸びとなり、引き続き個人消費は堅調に推移しているといえます。一方、鉱工業生産については伸びが鈍化しており、企業の生産動向の推移には注目する必要があります。

米小売鉱工業.png

個人消費と鉱工業生産の先行きを予測する上で、消費者と企業のマインドを示す消費者信頼感指数とISM製造業景況指数が活用できます。消費者信頼感指数については、一時米財務問題が懸念されて弱含んでいたものの、直近では2008年2月以来の約5年ぶりの水準に上昇しています。一方でISM製造業景況指数については製造業の活動の拡大と縮小を分ける境目の50を下回っており、特に政府の歳出削減と海外需要の低迷を受けた企業の設備投資抑制などを背景にやや縮小の傾向が見られます。特にISM製造業景況指数は米金融緩和策の動向を占ううえで重視されている可能性が高く、50を下回る水準での縮小の可能性は低いとも考えられます。

米センチメント.png

米雇用者数の伸びはやや鈍化しているものの、引き続き改善傾向にあります。平均月20万人の伸びを米金融緩和策の縮小の一つの基準として考えている米連銀総裁もおり、金融緩和策を縮小するレベルの改善には至っていないと考えることができます。一方、安定した雇用の伸びは米景気に対する懸念材料にもならず、マーケットとしては心地よい水準なのかもしれません。一方、失業率が悪化しましたが、これは労働市場への参加者が増加したことによるものです。労働意欲を失って失業率の算出母数から外れていたものが再び労働市場へ参加してきたことによるもので、失業率の悪化は懸念材料となるものではないと考えます。

米雇用.png

雇用の安定は住宅の購入につながります。住宅はローンを組んで購入することが大半であり、この先も安定して賃金が得られる、つまり雇用に不安がない状況となって初めて住宅を購入するモチベーションが生まれます。米住宅販売は非農業部門雇用者数の伸びが始まった2010年後半から件数が安定して伸びており、雇用の回復が住宅などの購入につながっていることがわかります。

米住宅販売.png

5月末に発表された3月のS&P/ケースシラー住宅価格指数は前年同月比10.9%の上昇となり、2006年4月以来の最大の伸びとなっています。住宅価格など資産価格の上昇は個人のセンチメントに大きくプラスに働き、住宅価格の上昇が個人のセンチメント、そして消費を押し上げる要因となっています。特にサブプライムローンなど幅広い物件を含んだS&P/ケースシラー住宅価格指数が直近横ばいから大きな伸びとなったことは、個人のセンチメントに特に大きくプラスの影響を与えていると考えられます。

米住宅価格.png

住宅価格の上昇に加えて米株高に伴って個人資産は増加しており、個人消費の先行きは堅調に見えます。一方、製造業のセンチメント改善がやや停滞する中、銀行貸出の伸びが直近で横ばいとなっていることには注意が必要です。

米資産効果.png

上記のように米景気は堅調な個人消費が米景気をけん引するものの、製造業のセンチメントの低下がやや懸念されます。個人消費が活性化し、米財務問題や米金融緩和策の出口戦略に対する懸念が払しょくされ、銀行貸し出しが伸び、企業の設備投資家が増えれば、さらに米景気は拡大していくと考えれます。一方、企業のセンチメントが悪化を続ける場合、堅調な雇用情勢の改善も弱まり、個人消費に対してマイナスのインパクトとなる可能性もあり、特に米製造業の動向には注目していく必要があります。

情報ソース:Institute for Supply Management、U.S. Bureau of Labor Statistics、Board of Governors of the Federal Reserve System、The Conference Board、U.S. Department of Commerce、Federal Housing Finance Agency、Standard & Poor's Financial Services、Yahoo Finance

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posted by フカン at 22:15| Comment(0) | マーケットビュー
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