2014年02月16日

米国経済ファンダメンタル分析(2014年2月時点)

米国の金融政策は日本株式市場に大きな影響を与えます。2014年2月現在、米FRBによる量的金融緩和策の縮小及び利上げのタイミングが注目されています。米景気の回復が十分に見込まれれば、米金融緩和策の縮小が加速され、利上げのタイミングが早まるという期待が高まります。

米金融緩和策の縮小及び利上げは、米金利の上昇につながり、米ドル高を引き起こします。これにより、日米金利差の拡大に伴って円安が進行することで、日本株にはプラスの影響が働きます。加えて、米景気が回復基調にあることは、米国向け輸出の増加を介して日本企業の業績改善にもつながり、日本株へプラスとなります。一方で、金融緩和策の縮小及び利上げは米景気を失速させるリスクも秘めているため、その点には注意が必要です。

その米景気の現状を知るうえで、米経済指標が読み解くことが重要になります。直近では、米国での厳しい天候を要因として、12月、1月、2月の経済指標がゆがめられている可能性があります。そのため、データを見極めるには3月、4月の結果を見るまで米金融当局は様子見姿勢をとるだろうとも言われています。

まず、米GDPの約7割を占める個人消費の動向は、小売売上高の推移から2010年後半以降回復基調が続いています。直近1月は、寒波や降雪の影響で自動車のショールームや小売店への客足が遠のいたことなどを背景に、市場予想を下回り2012年6月以来の大幅減となっています。また、鉱工業生産についても、直近1月は、市場予想を下回り2009年5月以来の大幅なマイナスとなりました。特に、製造業の生産指数は市場予想の前月比0.1%上昇に対し、前月比0.8%低下となりました。

米小売売上鉱工業生産.png

個人消費と鉱工業生産の先行きを予測する上で、消費者と企業のマインドを示す消費者信頼感指数とISM製造業景況指数を読み解くことも重要です。消費者信頼感指数については直近で回復傾向にあり、高い水準で推移しています。一方、ISM製造業景況指数については、直近1月、生産の拡大・縮小の境目である50を上回ったものの、直近8ヶ月で最も低水準の拡大ペースとなりました。これは、極めて強い寒波や激しい吹雪の影響が強いものと考えられ、そのような中でも活動の拡大が可能だったことは指標としては力強い結果ととらえることもできるかもしれません。

米センチメント.png

1月の米雇用者数の伸びは市場予想の18万人増を大幅に下回り、11.3万人増と低水準な結果となりました。一方で、失業率は市場予想の6.7%に対して6.6%に低下しました。特に、労働参加率が前月の62.8%から63.0%に改善する中で失業率が改善しました。3月7日に発表が予定されている2月の米雇用統計に注目が集まりますが、2月は悪天候から悪化も予想されます。特に、米労働統計局が作成する雇用統計で非農業部門雇用者数にカウントされるには、労働者は毎月12日を含む週の給与支払いを受けていなければなりませんが、2月12日を含む週に吹雪で労働者が自宅待機を余儀なくされて無給となれば、就業者とカウントされず、調査結果に影響が出る可能性があるためです。

米雇用状況.png

雇用の安定は住宅の購入につながります。住宅はローンを組んで購入することが大半であり、この先も安定して賃金が得られる、つまり雇用に不安がない状況となって初めて住宅を購入するモチベーションが生まれます。米住宅販売は非農業部門雇用者数の伸びが始まった2010年後半から件数が安定して伸びており、雇用の回復が住宅などの購入につながっていることがわかります。また、直近12月は中古・新築住宅販売件数が共に減少していますが、これは悪天候による一時的な調整とも考えられ、次回以降に発表される数値と合わせてトレンドを追っていくことが重要です。

米住宅販売.png

直近の昨年11月の全米20都市の住宅価格は前年同月比で13.7%上昇と、2006年2月以来で最大の伸びとなりました。住宅価格がこのまま上昇を続ける場合、住宅の供給が依然として不足していることを示唆するもので、建設増加につながると考えられます。特に、住宅価格など資産価格の上昇は個人のセンチメントに大きくプラスに働き、住宅価格の上昇が個人のセンチメント、そして消費を押し上げる要因となります。

米住宅価格.png

住宅価格の上昇に加えて米株高に伴って個人資産は増加しており、個人消費の先行きは堅調に見えます。また、銀行貸出も伸びており、米経済のファンダメンタルは直近の悪天候による指標悪化とは対称的に堅調に推移しているともとらえられます。

米家計資産銀行貸出.png

住宅価格の上昇を背景に家計のバランスシートが改善することで個人消費が活性化し、銀行貸し出しが伸び、企業の設備投資家が増えれば、さらに米景気は拡大していくと考えれます。一方で、米国以外の新興国通貨安の懸念や中国の理財商品のデフォルト懸念など、新興国景気懸念が米景気のセンチメントに悪影響を及ぼす可能性には留意が必要です。

情報ソース:Institute for Supply Management、U.S. Bureau of Labor Statistics、Board of Governors of the Federal Reserve System、The Conference Board、U.S. Department of Commerce、Federal Housing Finance Agency、Standard & Poor's Financial Services、Yahoo Finance

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2013年10月25日

2014年の経済イベントから予想する相場展開

2014年の主要な経済イベントから今後の相場展開を想定しています。

直近では米債務上限の引き上げ協議は一旦の合意となり、米国のデフォルトは避けられました。2014年2月7日までは米国のデフォルトに対する懸念は和らぎ、次は12月17日のFOMCに焦点が移ると考えられます。市場予想通りであれば、金融緩和策の縮小は2014年3月まで見送られ、12月のFOMCは金融緩和の継続という結果に終わると想定されます。

そのような中、国内に目を移してみると、12月は産業競争力会議で中間整理が行われ、安倍政権の第三の矢である成長戦略が具体的に見えてくると考えられます。さらに、復興特別法人税の1年前倒しでの廃止は、日本企業業績にプラスのインパクトを与え、日本株へのプラス材料となると考えられます。

年明けにかけては、1月15日に米2014会計年度暫定予算の失効期限を迎え、再び米政府機関が閉鎖に陥るリスクも想定されますが、ここまでは10月にも経験しており日本株には大きなインパクトにはならないとも考えられます。一方、国内では1月21日の日銀金融政策決定会合にて、インフレ目標2%に向けた中間評価が行われ、ここで黒田総裁からインフレ目標2%達成に向けてさらなる金融緩和策が示されれば、円安及び日本株高をフォローする材料となる可能性があります。

その後は、通常国会での予算審議や政策審議の動向に左右されつつ、2月7日の米連邦債務上限撤廃法案の議論の動向に注目が集まり、再び米国デフォルトへの懸念が高まるリスクがあります。2月7日の債務上限問題を突破すると、次は3月のイエレン新議長初のFOMCが開催され、そこで米量的金融緩和縮小の是非が発表され、その動向によっては相場が調整するリスクがあります。ここで金融緩和策が縮小されれば、米金利の上昇に伴う米ドルの上昇、及び投資家のリスクオン姿勢が弱まる可能性も想定されます。

それ以降、2014年11月の米議会中間選挙までは現状のところ、2014年4月の消費増税に伴う想定以上の消費の落ち込みや、消費増税を補う景気刺激策が不調に終わらなければ目立ったリスク要因は見当たらず、緩やかな上昇トレンドを継続することが想定されます。

以上を総合すると、日本株は2014年1月末頃までは一時的に調整する局面はあるものの、安倍政権による政策期待などを背景に上昇トレンドが継続し、その後2月頭〜3月下旬までは米債務上限問題や金融緩和縮小懸念を受けて一旦調整局面に入り、4月以降には悪材料出尽くしから、再び緩やかな上昇トレンドに移行していくことも想定されます。

<2013年10月>
29日:米連邦公開市場委員会(FOMC)(〜30日まで)
31日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望(展望リポート)公表)

<2013年11月>
07日:ECB理事会
14日:7-9月期GDP
20日:日銀金融政策決定会合(〜21日まで)
月内:国家戦略特区関連法案の提出(12月成立見込み)
月内:中国共産党中央委員会第3回全体会議開催
月内:公的・準公的資金の運用見直し(最終報告)

<2013年12月>
05日:ECB理事会
06日:臨時国会会期末
13日:米2014会計年度予算、中期財政計画合意期限
17日:米連邦公開市場委員会(FOMC)(〜18日まで)
19日:日銀金融政策決定会合(〜20日まで)
月内:産業競争力会議での中間整理
月内:復興特別法人税の1年前倒し廃止決定の見込み
月内:15ヶ月予算編成(2013年度補正予算案、2014年度予算案)
月内:ドイツ大連立政権発足目途(クリスマス前までを目途)

<2014年1月>
09日:ECB理事会
15日:米2014会計年度暫定予算失効期限
21日:日銀金融政策決定会合(中間評価)(〜22日まで)
28日:米連邦公開市場委員会(バーナンキ議長任期満了前最後のFOMC)(〜29日まで)
月内:通常国会召集、2014年度予算案の国会提出

<2014年2月>
01日:イエレン氏がFRB議長に就任
07日:米連邦債務上限撤廃法案の合意期限
09日:ECB理事会
17日:10-12月期GDP
17日:日銀金融政策決定会合(〜18日まで)
月内:2013年度補正予算成立

<2014年3月>
06日:ECB理事会
10日:日銀金融政策決定会合(〜11日まで)
18日:米連邦公開市場委員会(イエレン新議長初のFOMC)(〜19日まで)
月内:中国人民代表大会
月内:公示地価公表
月内:2014年度予算成立

<2014年4月>
01日:消費税8%に引き上げ
03日:ECB理事会
07日:日銀金融政策決定会合(〜8日まで)
29日:米連邦公開市場委員会(FOMC)(〜30日まで)
30日:日銀金融政策決定会合(経済・物価情勢の展望(展望リポート)公表)

<2014年5月>
08日:ECB理事会
22日:欧州議会選挙(〜25日まで)

<2014年6月>
05日:ECB理事会
17日:米連邦公開市場委員会(FOMC)(〜18日まで)

<2014年8月>
月内:4-6月期GDP

<2014年9月>
月内:基準地価公表

<2014年10月>
ブラジル大統領選挙

<2014年11月>
04日:米議会中間選挙

<2014年12月>
年末:消費税10%引き上げ最終判断(年末まで)
年末:アフガニスタンから米国含む他国治安維持部隊が撤退

主なイベントについて

2013年12月13日:米2014会計年度予算、中期財政政策合意期限
2014年2月7日分までの米連邦債務上限引き上げ法案、2014年1月5日までの2014会計年度暫定予算案が10月16日に可決され、ひとまず国債の元利金を支払えなくなるデフォルトは避けられそう。一方、12月13日までに両院協議で中期の財務赤字削減が合意されない場合、1月15日以降の強制歳出削減発動、暫定予算失効による政府機関の閉鎖、2月7日以降のデフォルトにつながる可能性がある

2013年12月17日:米連邦市場委員会(FOMC)(〜18日まで)
米量的緩和策縮小時期について、市場では9月雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが予想を大幅に下回ったことを受け、2014年3月のFOMCでの発表を予想する向きが多くなっている。一方、12月の金融緩和縮小の可能性もあり、その場合はサプライズとなり、米金利の上昇やドル高につながる可能性がある

2013年12月内:産業競争力会議での中間整理
規制緩和が遅れているとされる農業、医療・介護、雇用・人材の各分野の分科会が中間整理を実施する。安倍政権の第3の矢である成長戦略に係る議論であり、大胆な規制緩和が見通されば相場にはプラスとなる一方、その内容が限定的であれば成長戦略の期待の剥落につながり、相場が調整するリスクも存在する

2014年1月15日:米2014会計年度暫定予算失効期限
1月15日の暫定予算失効期限までに合意に至らなければ強制歳出削減が発動し、暫定予算失効によって再び政府機関が閉鎖されることで混乱が生じるリスクが存在する

2014年1月21日:日銀金融政策決定会合(中間評価)(〜22日まで)
インフレ率2%の目標設定から1年後の中間評価。2%達成に向けてさらなる金融緩和策の実施が示唆されれば、ドル円相場は円安方向に振れる可能性がある

2014年1月:通常国会召集、2014年度予算案の国会提出
2014年度予算審議の後、3月頃を目途に国家戦略特区の第2弾として15項目前後の規制改革案が提出される見通しであり、規制緩和に向けた議論の動向に注目が集まる

2014年2月7日:米連邦政府債務上限撤廃法案の合意期限
10月16日に米債務上限の短期的な引き上げ法案が合意されたものの、引き上げの期限は2月7日までとなる。実際には、財務省の措置により暫定的にこれ以降の借り入れも可能となっているものの、債務上限引き上げなしでは米国はデフォルト(債務不履行)に陥ってしまう。そのため、債務上限引き上げ法案を成立させる必要があるが、2月7日を過ぎても合意に至らない場合、米国のデフォルト懸念が高まり、投資家のリスクオフ姿勢が高まり、相場が軟調に推移するリスクが想定される

2014年3月18日:米連邦公開市場委員会(イエレン新議長初のFOMC)(〜19日まで)
イエレン新FRB議長の就任と市場で想定される金融緩和早期縮小時期が重なり、3月18日のFOMCは大きな注目を集めると想定される

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2013年10月16日

米国経済ファンダメンタル分析(2013年10月時点)

米国については債務上限の問題及び金融緩和策の出口戦略に注目が集まっています。債務上限の問題は大きな問題とならないよう、政府が対処する可能性が高いと考えられます。債務上限の問題をクリアすれば次は米国の実態経済に目を移す必要があります。米国の実体経済を見てみると、これまで個人消費が堅調で製造業はやや弱い状況が続いていたものの、直近では製造業もセンチメント含めて改善の兆候が見られます。すなわち、米経済は年前半の相場上昇局面から着実に回復しているといえます。

まず、米GDPの約7割を占める個人消費の動向は、小売売上高の推移から2010年後半以降回復基調が続いています。3月、4月はやや減少、伸びが鈍化したものの5月以降は伸び続けており、引き続き個人消費は堅調に推移しているといえます。鉱工業生産についても伸びが鈍化していたものの、直近9月は再び上昇に転じています。

小売鉱工業.png

個人消費と鉱工業生産の先行きを予測する上で、消費者と企業のマインドを示す消費者信頼感指数とISM製造業景況指数が活用できます。消費者信頼感指数については、金融緩和策の縮小懸念や債務上限の問題が意識されていることから足元で伸びが鈍化しているものの、高い水準で推移しています。加えてISM製造業景況指数についても製造業の活動の拡大と縮小を分ける境目の50を上回って推移しており、米金融緩和策縮小のための下地は整っているものと考えられます。

センチメント.png

米雇用者数の伸びは8月にやや鈍化したものの、直近では15万人増と堅調な改善を示しています。また失業率についても改善傾向にあり、金融緩和縮小を後押しする結果が出ています。

雇用情勢.png

雇用の安定は住宅の購入につながります。住宅はローンを組んで購入することが大半であり、この先も安定して賃金が得られる、つまり雇用に不安がない状況となって初めて住宅を購入するモチベーションが生まれます。米住宅販売は非農業部門雇用者数の伸びが始まった2010年後半から件数が安定して伸びており、雇用の回復が住宅などの購入につながっていることがわかります。また、直近で中古住宅販売件数が順調に伸びており、米住宅市場も着実に回復していることがわかります。

住宅.png

9月末に発表された7月のS&P/ケースシラー住宅価格指数は前年同月比12.4%の上昇となり、2006年2月以来の最大の伸びとなっています。住宅価格など資産価格の上昇は個人のセンチメントに大きくプラスに働き、住宅価格の上昇が個人のセンチメント、そして消費を押し上げる要因となっています。特にサブプライムローンなど幅広い物件を含んだS&P/ケースシラー住宅価格指数が直近横ばいから大きな伸びとなったことは、個人のセンチメントに特に大きくプラスの影響を与えていると考えられます。

住宅価格.png

住宅価格の上昇に加えて米株高に伴って個人資産は増加しており、個人消費の先行きは堅調に見えます。一方、銀行貸出の伸びが直近で横ばいとなっていることには注意が必要です。

資産効果.png

上記のように米景気は堅調な個人消費が米景気をけん引し、さらに製造業のセンチメントの回復がさらなる景気回復期待につながっています。個人消費が活性化し、米財務問題や米金融緩和策の出口戦略に対する懸念が払しょくされ、銀行貸し出しが伸び、企業の設備投資家が増えれば、さらに米景気は拡大していくと考えれます。一方、金融緩和策の縮小懸念や米財務問題が長引くことによるリスクには注意が必要です。

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